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ビリー・ホリデイ「奇妙な果実」の歌詞の意味は?和訳と時代背景と考察【バタフライエフェクト】

音楽家/芸術家
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ビリー・ホリデイさんの名曲「奇妙な果実」の歌詞についてです。

この記事では、歌詞の和訳と当時の時代背景と意味を考察していきたいと思います。

この記事を読んでわかること

ビリー・ホリデイさんの名曲「奇妙な果実」
1. 歌詞(原文)
2. 歌詞(和訳)

3. 時代背景
4. 歌詞の意味(筆者考察)

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歌詞(原文)

Strange fruit

Southern trees bear strange fruit,
Blood on the leaves and blood at the root,
Black bodies swinging in the southern breeze,
Strange fruit hanging from the poplar trees.

Pastoral scene of the gallant south,
The bulging eyes and the twisted mouth,
Scent of magnolias, sweet and fresh,
Then the sudden smell of burning flesh.

Here is fruit for the crows to pluck,
For the rain to gather, for the wind to suck,
For the sun to rot, for the trees to drop,
Here is a strange and bitter crop.

(作詞作曲:ルイス・アレン)

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歌詞(和訳)

奇妙な果実

南部の木は、奇妙な実を付ける
葉は血を流れ、根には血が滴る
黒い体は南部の風に揺れる
奇妙な果実がポプラの木々に垂れている

爽やかな南部の牧歌的な光景
膨らんだ眼と歪んだ口
モクレンの香りは甘くて新鮮
すると、突然に肉の焼ける臭い

カラスに啄ばまれる果実がここにある
雨に曝され、風に煽られ
日差しに腐り、木々に落ちる
奇妙で惨めな作物がここにある

(作詞作曲:ルイス・アレン)

(訳:筆者)

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時代背景について

時代背景

・アメリカの憲法は人種差別を前提としていた
・作詞作曲された1939年も人種差別は続いていた

この歌詞の意味を正確に理解する上で日本人である私との前提事項の差と現在との時代背景の差を明らかにする必要があります。

まず、その2つを明らかにした上で歌詞の意味を考察してみましょう!

アメリカの憲法は人種差別を前提としていた

驚きのタイトルですが、実はアメリカの憲法は奴隷制を前提に制定されました。

1787年に成立した憲法第二条第三項を引用します。

下院議員と直接税は、連邦に関わる各州の人口に比例して各州間に配分される。各州の人口は、年期を定めて労務に服するものを含み、かつ、納税義務のないインディアンを除いた自由人の総数に、自由人以外の全ての者の数の3/5を加えたものとする。

インディアンのことも驚きですが、今回は本題から逸れるので置いておきましょう。

ここでいう自由人とは白人のことです。

自由人以外とは黒人奴隷のことです。

黒人は白人の3/5人として計算すると憲法で明記されていたことがわかりますね(現在は改憲されている)。

日本人である私には信じられないことですが、アメリカとはこのような建国背景を持った国なのです。

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作詞作曲された1939年も人種差別は続いていた

奴隷解放宣言により、黒人奴隷が解放されたのは1863年のこと。

「奇妙な果実」が作詞作曲されたのが1939年。

奴隷解放宣言の後だから、差別はないのでは?と思うかもしれませんが、そう簡単ではありません。

答えからいうと、1963年のキング牧師の「私には夢がある・・・」の有名な演説まで続きます(その後も続きますが本題では無いので置いておきましょう)。

それだけ人種差別の慣性は大きかったのです。

それでは、奴隷解放宣言の後どうなったかというと、労働力に困った農園の支配人たちは修正憲法を逆手に取り、黒人たちを犯罪人に仕立て上げ、囚人労働として働かせたのです。

その修正憲法がこちら

奴隷制及び本人の意に反する苦役は、適正な手続きを経て有罪とされた当事者に対する刑罰の場合を除き、合衆国内またはその管轄に服するいかなる地においても存在してはならない。

憲法を修正第13条(1865年成立)

それ以前は、私有財産としての奴隷だったのですが、囚人になったわけです。

ご想像の通り、面倒を見る必要がなくなりましたから扱いは過酷なものとなり、黒人の死亡率は上がりました。

その後も形を変えて長い間人種差別が続きました。

つまり、1939年とは奴隷解放宣言されたものの、人種差別は続いていた時代ということになります。

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「奇妙な果実」歌詞の意味を考察

歌詞の意味

「奇妙な果実」は当たり前と思っている現状に対して疑問を投げかけた

私の結論は上記の通りですが、順をおってみていきましょう!

まず、奇妙な果実が黒人の木に吊るされた遺体であることは疑いの余地はないでしょう。

そして、この歌は当時の日常風景を歌ったものだと思うのです。

なぜなら上述した時代背景の通り、この時代の黒人は囚人扱い、このような光景は日常茶飯事だったためです。

それを「奇妙」といっているのです。

つまり、「この日常風景は奇妙なんだ」ということを訴えているのが「奇妙な果実」です。

現在では黒人差別に対する批判も受け入れられるようになりましたが、当時は差別は当たり前、そう信じている人に「差別するな」と言っても通じない。

だから、その当たり前は奇妙だ、と訴えているわけです。

現状に疑問を感じない限り行動は変わりませんから、現状に疑問を投げかけたのがこの歌ということですね。

私はそう理解しています。

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映像の世紀バタフライエフェクトに出演

今回、ビリー・ホリデイの名曲「奇妙な果実」が、NHK「映像と世紀バタフライエフェクト」で取り上げられます。

放送予定は次の通りです

  • 5月13日(月)
  • 22:00〜
  • NHK
  • 映像の世紀バタフライエフェクト

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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